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little thing 恋物誌 issue no.25

今朝郵便屋さんが待ちに待った[ little thing magazine issue 25 ]を配達してくれました。中国での発売が少し遅れたせいで日本の蔦屋へはまだ入荷していないので、編集部から送られてきた恋物誌 little thingをやっと手にすることができて嬉しい一日の始まりでした。
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さて、今日は記事全文のご紹介です。
でも....この記事はインタビューアーとのメールのやり取りで行われたので、何だかいつもよりものんびりした感じ。だって、当然この後プロの手によって編集されると思っていたんですもの。
それが、「掲載記事を訳して送ってくれる?」と聞いたら、「この前のHirokoの返事をそのまま掲載したからあのままよ」と言われ絶句。。。。

では、ちょっと長いけれど是非。
Lt=little thing編集部 H=私です

1. 先生の初めての手作り作品は何ですか?先生にとって手作りの一番の魅力はなんでしょう?少女時代からの趣味を一生の仕事として追い求める理由を教えてください。

H: 私が初めて作った物で覚えているのは、8歳くらいの時に初めて飼った猫のためのマントです。もちろん、猫は着せたとたんに嫌がって逃げ出しました!(笑)
小さい頃から好きだったことを一生の仕事に出来たことを、私はとても幸せだと思っています。私は物心ついた頃から作ることが好きだったので、小さい頃の夢はお料理か手芸の先生になることでした。
他に得意なことがなかったので!両親やイギリスの学校の先生達が「自分が好きなことを一生懸命にやりなさい。」と励ましてくれたことも良かったと思います。
好きなことだから努力できるし、続けて行けるのだと思います。

Lt: 先生はリボンなどで花を作り、ブログでもいろんな花の写真をアップしていらっしゃいますね。先生はなぜ花を創作と生活の主題として選んだのですか?

H: 私の両親はとても園芸が好きで、いつも家の庭にはいろいろな花が咲いていました。そして、祖母は絵がとても上手で、祖母の描いた花の絵が家の中に飾ってあったり、絵を描くための花がいつも家の中にいけてありました。いつも花が近くにある生活をおくってきたので、自然と花に目がいくようになったのだと思います。
それに花ってかわいいし、きれいでしょう。私は花だけではなく、葉っぱも好きです。花や葉っぱを見ていると、自然が作り出す質感や色にいつも感動してしまいます。
だから、何かを作る時に花を選ぶのだと思います。

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Lt: 先生はこの数年、東京と上海で往復して暮らしていらっしゃいますね。このふたつの大都市からどんな影響を受けたのでしょうか?先生にとって上海の一番魅力は何でしょう?

H: 東京は私が生まれ育った街で(両親や親戚も皆東京の人です)、家族、友達が住んでいます。慣れ親しんだ場所、食べ物があり、いつも戻りたくなる巣のような場所です。

上海はロンドン育ちの私にとって、アジアとヨーロッパの文化が混ざり合った両方の面白さを感じられる街です。上海の一番の魅力は、そんな国際都市で世界中のいろいろな人々が新しい物を求めている中国の人たちと何かを始めようとしているエネルギーを感じられるところです。早いスピードで変わって行く上海の移り変わりを自分自身で感じたいと思っています。

Lt: 先生の愛猫sageはどんな物でも枕に活用して寝るのはとても印象的で面白いですね。彼の一日を紹介してください。Sageをイメージした作品を考えたことはありませんか?

H: Sageの一日はとってもシンプルです。起きて、食べて、また寝る、の繰り返し。人間はこの間に、働く、があるけれど、飼い猫のSageにはありません。私も彼のように暮らしたい!
Sageは私が東京にいる時は、朝7時頃起こしに来て朝ご飯を食べて寝ます。そして、お昼頃お腹がすいたらまた食べて寝て、夕方また食べて寝る。ご飯を食べる合間に私がブラッシングをしたり、爪を切ったりしてあげます。
暑い日には冷たいお風呂のタイルで寝て、寒い日には私のベッドで寝ています。つまり、王子様のような生活ですね!

Sageをイメージしたデザイン、うーん、余り考えた事がありません。何故でしょうね、多分、Sageのことを一番かわいくて素敵だとおもっているからかもしれません。(その良さを作品には表せない感じ)
黒猫はラッキーのシンボルなので時々使います。

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Lt: 先生は旅行が大好きで世界中のいろんなところに旅行していらっしゃいますね。その中で一番好きなのはどこでしょうか?最近の香港と中国南部への旅行はどうでしたか?

H: 一番好きな場所、どこでしょうね。やはり英国かもしれません。
でも、それは英国の風景や街並が好き、というよりも英国人が好きだからだと思います。英国人ってユニークでしょ。真面目そうな顔をして平気で面白いジョークを言うし、でもインテリジェントで、それに花が好き!古い伝統の中から新しい発想が生まれ続けているパワーも個人主義の素晴らしさだと思います。

先日香港へ行った時には、バス停や郵便ポストの色、濃いミルクティを飲むところなど、色々な英国の影響が残っていて面白いと思いました。
深圳は新しく作られた街というだけあって、道が何キロもまっすぐで何もかもが大きい!また、是非行ってみたいと思っています。

Lt: 先生は手作りの道を歩み出してからもう20年を超えていらっしゃいますね。この二十年の間に創作の目指す方向や関心など、どのような変化がありましたか?自分の作品で一番好きな時期はいつでしょうか?

H: 物を作る人の作品は常にその人を表しているので、作品を見ればその人の成長や変化がわかるのではないかと思います。好きなものは変わらないけれど、その表現方法は変わって行きます。
私の場合、かわいいもの、美しいものが好き、ということは子供の頃から同じで、何を「かわいい」「美しい」と感じるかが、その時によって少し違うのかもしれません。
自分の作品を振り返ると、技術的には今が一番上手ですし、一番新しい作品が一番好きです。でも、20年前の作品の中には技術的には今よりも稚拙でも、アイディアが溢れていてすごい!と思うのもあり、みんなそれぞれが私の分身です。

Lt: 先生は日本以外にも上海で手作り教室を定期的に開催していらっしゃいますね。このような手作り教室ではどんな成果が出ているのでしょうか?将来は手作り好きな中国の人のために、他の町でも教室を開催することは予定していますか?

H: 私がそもそも中国で手芸教室を開きたいと思ったきっかけは、一昨年の春に上海の南京西路のギャラリーで個展を開いた時の反響の大きさに触発されてでした。
中国では政治的影響のため若い女性達が手芸に親しむことが殆どなく、針と糸を手にしたことがないようでした。そんな彼女達が私のワークショップに来て、慣れない手つきながらもにこにこと楽しそうにしている姿に「もっと色々な手芸の楽しさを伝えたい」と思うようになったのです。
そんな私の事が上海のテレビや雑誌、新聞などのメディアに取り上げられ話題になりました。その様子を目にした人たちから、「面白そう」と声をかけて頂くこともあります。
これからも、「Hiroko, 手芸教えて」と誘われたら、中国の何処へでも喜んで飛んで行きます。
実際、今年は日本の手編み糸Puppyと手を結び、中国の地方都市での編物の講習会を企画しています。

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Lt: 先生は14歳で両親と一緒にイギリスのロンドンへ引っ越されましたね。先生の作品からもアジアとヨーロッパの文化と美の融合が感じられます。先生にとって、どちらの文化の影響がより深いのでしょうか?

H: 私はロンドンに住んでいた頃にVictoria & Albert Museumという工芸博物館へ良く通っていました。そこで、世界中の工芸品を見ているうちに、どの国でも、どんな時代でも人間が考えることは同じなのね、と思いました。人々は暮らしの中で「編む」「縫う」を繰り返して、技術の差はあるけれどいろいろなものを作り続けて来たのだと感じました。
そして、私は西洋美術の中でも東洋の影響を強く受けているオリエンタリズムが好きだということにも気がつきました。
当時、KENZO, comme des garcon, Yoji Yamamotoなど、日本人のデザイナーが提案するデザインをヨーロッパが熱狂して取り入れた様子をロンドンで見ながら、デザインに国境がないことを思いました。
だから、どんな時代でも人は自分が感じたことを表現して、それは世界中の人に受け入れられる可能性があるのだと思っています。

20歳になるまでの人生の半分を私はアメリカとイギリスで過ごし、特に感受性の強い時期にイギリスに住んでいたので、イギリスの影響が強いのは自分でも感じますけれど、それ以上にイギリスに住んでいた時に自分が日本人だということを、外国に住んでいたからこそ強く感じながら育ったと思います。

Lt: ほかにどんな手作りが好きですか?手先の器用な先生にとって苦手なものは何でしょう?

H: 得意なのは料理です。仕事が忙しくて気分転換をしたい時には料理をします。料理は「作る+飾る(皿に盛りつける)+食べる」という3つの楽しみがあるので好きです。
あと、何も考えないで集中できるところも良いですね。

苦手なのはスポーツかしら。
水泳やスキーなど子供の頃に家族で楽しんだものは今でも好きですが、ゴルフやジョギングなどは余り得意ではありません。スポーツにはそれほど興味がありません。

Lt: 先生はコマーシャルコラボとかしたことあるのでしょうか?アートおよび手作りと商業の結合はどう思っていらっしゃいますか?

H: 以前私の作品を東京のセレクトショップで販売したことがありますが、私は自分の作品をお店で販売するよりも、個展を開いたり雑誌などのメディアで作品を発表したり、直接生徒さんたちと向き合って教室で教えるほうが好きです。

でも、去年中国の雑誌LOHASが上海で大きなエコのイベントをした時に声をかけて頂き、不要になった洋服を材料にしてネックレスを作るワークショップを開き大好評でした。こんなふうに私の作品を使って面白くコラボレートできるのならば、いつでも喜んで参加します。どんなふうにしたら良いのかを私も模索中です。


Lt: 先生の一番好きな“little thing”(小物)は何でしょうか?

H: 私の一番好きなlittle thingは私の心の中に咲いている花です。:)
現実的に言うと、私の生活の中で使うものの全ては私がひとつひとつ選んだものなので、どれかひとつ、というのは難しいと思います。

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http://www.littlethingmagazine.com/


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