蓼科日記 その18
まだ夜が開けないくらいから猫たちを乗せて中央道を走り、蓼科へ来ています。
1日目はとりあえず山荘へ荷物を運び込み、猫たちとハギオが落ち着けるように整え、叔母への挨拶もそこそこにまた車に乗り込みました。
諏訪湖畔に沿って走り、向かったのは岡谷のイルフ童画館。
もう何度もお邪魔したことはあるけれど、今回の目的は武井武雄の刊本作品の鑑賞。: )
いつもはガラス越しに「わぁ、素敵」とか「この細かさ、どうなってるの?」とか、「どんな素材でできてるのかしら?」と頭をぶつけそうなくらいに近寄って見ているけれど、この日は事前に拝見したい作品を申し込んでいたので、実際に手にとって刊本を見ることができる貴重な機会でした。ドキドキ。♡(写真は肝本作品を展示してある部屋の入り口パネル)
武井武雄が「親戚」と呼んだ会員300人のために実費配布をしたこの刊本作品は全部で139点。一回ごとに違う素材、違う技法、オリジナルのお話と絵、という凝りようで、武井武雄が認証したものには1冊ずつ署名をし、半世紀にわたり作り続けた彼のライフワークです。おおっ!
「木魂の伝記」は小田原の寄木細工の老名工が8か月にわたって製作し、持病を発症して入院した病院から脱走してまでして期限までに収めたというもの。その緻密さに驚くのと同時に人間技の素晴らしさに感動でした。
「笛吹く城」はSベランによるゴブラン織りで作ったもの。一度Sベラン紙に印刷をしてから、西陣のベテラン職工が織りあげたもの。これも本当に素晴らしくうっとり。革のような表紙もステキでした。
そんな中でも一番好きなのが「人魚と嫦娥」。これは何と螺鈿細工です。♡
真っ黒な漆に細かな貝をカットして描いた帆船や人魚が浮かび上がっています。本当にステキ。うっとりです。ほうっ。♡
どの作品も手にとってみなくてはわからない質感や重さや感触と楽しさ、そして何と言っても、小さな本一冊一冊に込められた武井武雄の思い、そしてその思いを叶えようとした職人や印刷会社の努力と技術の素晴らしさに勇気を与えられました。: )
どの技法も「この方法で本を作るの?」と驚くものばかり、そしてどれもが時代の先端技術だったり、または昔から伝わる伝統的なものを作り続けてきた名工なしでは作り得なかったもの。
様々な努力と信頼なしでは作りたいものは作れないことをしっかりと感じて帰ってきました。
そして1冊ずつの本にまつわるお話を丁寧にしてくださった学芸員の方のおかげで、より深く刊本の魅力を感じることができました。感謝。: )
そして、武井武雄からのメッセージをしっかり受け取った後に向かったのはイルフ童画館から歩いて5分の濱丑さん。明治元年創業の老舗の川魚専門店のうなぎの蒲焼は関東風の背開き& 関西風の蒸さないで焼くスタイルなのでパリッとしていてふんわり。: )
少し甘めのタレだけれど、ふっくらふんわりした弾力のある厚い身が東京で頂く鰻とちょっと違って面白い。太鼓祭りの日ということもあり、並んでいる途中に「売り切れ 準備中」になるほどの混みようでしたけれど、待った甲斐があって美味しい鰻でした。にっこり。♡
さて、この夏は雨ばかりの蓼科。今日は諏訪湖の花火なのに予報は大雨です。どうなることやら。。。あまりの混雑に山を降りることもままならないので、ゆっくり今日も仕事をしましょうか。
そして、今日は強く平和を祈りたいと思います。Prayers for World Peace. ♡♡♡
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