文化・芸術

Story of...

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五月晴れの昨日、「Story of... カルティエ クリエイション|めぐり逢う美の記憶」展を見に行きました。
東京国立博物館の平成館では話題の阿修羅展を開催しているので、今の上野は見た事がない程の大にぎわい!修学旅行の高校生達もあちらこちらで集合写真を撮っていたりして、駅から博物館への道があんなに混んでいるのは初めてのことでした。

そして、ここは。。。
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カルティエ展を開催している素敵な表慶館です。

吉岡徳仁氏を監修者に迎えたこの展覧会は、会場に入ると思わず「わぁ、暗い。。。」とつぶやいてしまうほど、照明を押さえた演出になっていました。

でも、実際にまばゆいジュエリーの前に立つと、見ている私たちの顔は照明に照らされたダイアモンドの輝きの反射でキラキラと輝きます。暗闇の中に輝くジュエリーは、本当にきれい!

表慶館の1階から2階へ続く回り階段や照明もエレガントで、建物と展覧会の内容が合っていて益々期待に胸が膨らみます。そして、2階から見る入り口のホールのモザイクは必見!入った時には気がつかないけれど、2階からは全体が見られます。

1階にはカルティエのメゾンとしての歴史的な流れを作ったオーソドックスなジュエリーや時計が展示されていますが、溜息が出たり、思わずクスッと笑ってしまうエクストラヴァガントで楽しいジュエリーがあるのは2階です。

展覧会のポスターにもなっている、あの素敵な巨大なイエローダイアモンドとダイアモンドとダイアモンドを繋いだようなネックレスは、実は女性の身体では支えられない程のヴォリュームを持った男性用のネックレスです。
そんなとてつもないオーダーを1928年にしたのは、「偉大な王の王」と呼ばれたインドのマハラジャH.H.Maharaja Dhiraj of Patiala(パティアラのマハラジャ、プピンドラ・シン)。


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インドではジュエリーは富と権力の象徴として男性がこぞって身につけたらしいのですけれど、このマハラジャ、ハンサムでしょう?素敵!
何だか写真からでさえもエキゾティックな香油の香りが漂ってきそうです。

そのほかにもグレース・ケリーがレーニエ公から贈られたすごく素敵な、そして大きなエメラルドカットのダイアモンドのエンゲージリング!!!、シンプソン夫人(Duchess of Windsor)が注文した大きなサファイアの球の上に座るパンテール(豹)のブローチ、チャーチルが息子に贈ったシガレットケースやジャン・コクトーがアカデミーフランセーズの会員になった時にカルティエが作った剣なども見る事が出来ます。

そして、何よりも興味深かったのは、ガラスの中のジュエリーひとつひとつが持っているStory。
カルティエのメゾンとしてももちろんのこと、カルティエにジュエリーを注文をした人たち、そしてそれを身につけたときの物語が、パネルではなく、ひとつひとつのジュエリーの後ろに映像として表現されているのがとっても解りやすく、またジュエリーから話しかけられているような気持ちにもなりました。

ファッションとジュエリー、芸術と社会を結びつけたカルティエ。メゾンの技術とデザインが、注文主の財力や人間としての魅力と出会って作られたジュエリーたちは、ただ単純にゴージャスできれいなだけではなくて、人間の歴史を見ているようでした。そして、どの映画のどのシーンで女優達がカルティエのジュエリーを身につけていたのか、もう1度1960年〜の映画を見直したくなりました。


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売店では、カタログとノートを購入しました。展覧会のカタログって重くて、ちょっと買おうか迷うけれど、このカタログは見開きページでひとつひとつのジュエリーの写真とStoryが載っているので、読み応えもあり暫く楽しめそうです。

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夢見心地のまま表慶館を後にして、向かったのは。。。


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文化会館のテラスのカフェ Hibiki. 人工芝だけど、やっぱり外は気持ち良い!
5月の風に吹かれながら遅いランチを食べました。


Story of...カルティエクリエイション|めぐり逢う美の記憶
東京国立博物館 表慶館 〜2009.5.31

上海での講習会については「待望のワークショップ in 上海!」5/8の記事を見て下さいね。

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きれいなもの。

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先日、六本木のミッドタウンにある小さいけれど素敵な美術館、21_21 DESIGN SIGHTで開催中の「うつわ U-Tsu-Wa」展へ行ってきました。


2月からずっと「早く見たーい!」と思っていたのに時間がなかった私は、やっとLucieの作品を見られる嬉しさに、いそいそと六本木へ向かいました。
まるで憧れの人に会うようにドキドキしながら階段を下り始めたら、階下から思いがけず懐かしい声が聞こえてきました。私がロンドンに住んでいた頃に良く見ていたBBCの名物番組 [Omnibus]の司会者 、Barry Normanの声です。そして、始まったのが1982年に作られた、Dame Lucie Rie(ルーシー・リィー, 1991年にDameの爵位)の制作風景をDavid Attenborough(デヴィッド・アッテンボロゥ 動・植物学者、作家)が見守りながらインタヴューをするという興味深い番組のVTRでした。この番組の一部はNHKの「新日曜美術館」でも紹介されていましたね。でも、何回見ても新しい発見があり、また何回でも見ていたいと思う番組でした。

ナチスから逃れるためにウィーンからロンドンへ移り住んだルーシー・リィーは、1995年に93歳で亡くなるまでずっと絶え間なく自分の器を作り続けました。私がLucie Rieの陶磁器が好きなのは、彼女が生み出すものは全て率直で自然だから。余計な飾り気がないけれど、彼女の想いは繊細な技法や大胆な色使いにそのまま表れていて胸を打たれます。VTRでは度々、彼女がろくろを回している様子が映るのですけれど、台の上の作品が回るのと同時に、彼女の頭も、まるで作品と一体化したようにくるくると小刻みに揺れているのが印象的でした。
VTRの中のLucieは静かで強く、でも優しくしなやかな人でした。

そして、大きな展示室には、まるで水の上に浮かんでいるようにLucieの作品が展示されていました。色々な釉薬の研究を重ねた彼女の作品は、すべすべ、ごつごつ、キラキラ、ざらざら...いろいろなテクスチャーのものがありました。ミニマルな東洋的な雰囲気とウィーンの装飾的なセンスが、彼女を通して陶磁器として表現されているように思いました。息を詰めたような繊細さと同時にすーっと広がっていく感じ、そして彼女自身が、自分が作るものにいつも驚きながら、新しい発見をしながら、確信を持って楽しんで作っていることを、私はひとつひとつの器から感じました。

私が作品を作る時は既存の布、糸、リボンなどをどんなふうに組み合わせるかが好きで、楽しくて、「材料を染める、紡ぐ」、というプロセスには余り興味がないのですけれど、陶芸家にとって「色は無限」なことを、改めて強く感じました。

そして、必見なのはLucieが戦時中に生活の為に作り始めたボタンたち!
かわいい!子供のお遊びのような粘土をくるっとひねったようなものや、古代ローマンの発掘品やギリシャ彫刻のようだったり、ちょっとオリエンタルな雰囲気のもの、カッコイイグラフィカルなものなど、どれも遊び心に溢れていて、私も紙粘土を買って来て作りたくなりました。

英国ではV&Aを始め、色々な美術館に収蔵されていたり、オークションでも現代陶器として異例の高値をつけると言われている程人気のLucie Rieですが、日本では1989年に三宅一生氏の呼びかけで展覧会が開かれる迄、一般的にはあまり知られていなかったのではないかと思います。そして、今回もまた三宅一生氏によって、ジェニファー・リーとエルンスト・ガンペールという、やはり自然からの力を大切にしている作家との3人展が開かれました。Lucieの作品が大好きな三宅氏が彼女に直接会いに行き、その長年の交流を通して培われた信頼から可能になった展覧会。こんなエピソードを聞くと、引っ込み思案になったり、面倒くさいなどとは思わずに、自分の気持ちを伝えることの大切さも感じました。そして、連休中の今、私は久しぶりに手紙を書きたくなりました。


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展示会場でも購入できる1989年の「ルゥーシー・リィー展」の図録と、私が最近読んで気持ちがしっかりした本、「美しいもの」赤木明登(新潮社)。

うつわ U-Tsu-Wa展 ~5.10 (Sun) 11:00-20:00
21_21 DESIGN SIGHT (Tokyo Midtown Garden)

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Arts & Crafts from MORRIS to MINGEI と上野の一日

今日は長ーいタイトルの始まりの通り、長い一日のお話です。

この頃4月の作品展の準備で忙しい私は、既によっぽどの用事がない限り家に居るのですが、「外においでよ、楽しい事があるよ!」とお誘いが多くて困っています。。。

というのも、1-3月に見たい展覧会や映画が沢山あるんです。今日はそのうちのひとつ、上野の東京都美術館で開催中の「生活と芸術ーアーツ&クラフツ展 ウイリアム・モリスから民芸まで」2009.1/24 - 4/5のご紹介です。

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これは、言わずと知れたウイリアム・モリスが提唱した「役にたたないもの、美しいと思わないものを家に置いてはならない。」毎日の生活に美を取り入れる、アーツ&クラフツ運動の世界的な広がりとその影響を受けた作品、約280点を一同に展示した展覧会です。

私の大好きなロンドンの装飾博物館V&Aの収蔵品が沢山来ている事と、数年前にV&Aで開催された、同様の展覧会を企画した学芸員のルパート・フォークナー氏の公演を聞ける事を、数日前からとっても楽しみにしていた私は、朝から意気揚々と出かけました。もしかしたら、他の方が見たらスキップをしてるんじゃないかと思うくらいに、ウキウキと弾んだ気持ちをかかえて!

ロンドンのV&Aの、天井が高くて、広くって、暗い空間で見るのとは違って、コンパクトに良くまとめられたこの展覧会は、アーツ&クラフツ運動の流れが良く解って、とても面白いものでした。

私が気に入ったのはEdward Burne-Jonesの「貴婦人と動物のサイドボード」(1860年作)動物に餌をあげたりしている何人かの女性が、木の大きなチェストに描かれている作品です。
赤と緑と黒の色調が、日本の家にも似合いそうな感じでした。私は、バーンジョーンズが大好きなので、彼の絵以外の作品を見られた事も嬉しいことでした。

他にも、素敵な燭台や、それはそれはきれいな本たちがありました。

そして、いつものモリスを主とした展覧会と大きく異なると私が思ったのは、日本の柳宗悦らの民芸運動に関わった作家達の作品も展示してある事と、1928年の東京大博覧会のために作られた「三国荘」の再現展示があることでした。

「三国荘」の展示は、応接間とそこに繋がった主人室の2部屋を、当時の家具や調度品と共に再現したものなのですが、私はその前に立ったとたん「あっ、これは。。。」と思いました。
私の祖母は、民芸が好きで、色々な物を集めて生活に取り入れていたようなのですけれど、絨毯の上に置かれた木の家具、螺鈿の棚や朝鮮や中国の工芸品や木彫の箱などを飾った畳の部屋、どれも、まるで祖母の家のようでした。

私が、今まで神戸育ちの祖母のハイカラな趣味だと思っていた事は、まさに「Art&Crafts」だったことが解り、いろいろ聞きたい事、教えて欲しい事があるのに、もうその事を教えてくれる祖母や父が他界していることが残念でたまりませんでした。

そして、その祖母が民芸好きだった事を裏付ける物を、展覧会の売店で見つけてびっくり!
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これは、祖母や父が愛用していた卵を調理する小さなココットです。


この中へバターを少し塗って、卵をポン!と割り入れて火にかけると、数分でアチアチのおいしーい半熟卵ができるんです。

今日、初めてこれが日本製で、「エッグベーカー」という商品名で、島根県松江市の湯町窯というところで今も作られ続けている事を知りました。

でも、今の物は以前に使っていたのよりも一回り大きいような気がします。
これならば、卵ひとつだけよりも沢山何かを入れられそうなので、今度はちょっと贅沢に海老芋と卵とフォワグラにデミグラスソースをかけて作ってみようかしら。美味しそうでしょう? 
サーモンとアスパラガスとオランデーズソースも良いかもしれない。わぁ、いろいろ作れそうで楽しみ!!

さてさて、欲張りな私は、展覧会の帰りに上野東照宮の冬ぼたん展も見ました。
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きれいでしょう?まだ、少し早かったけれど、梅やロウバイも咲いていたし、茶店で甘酒とおだんごを食べていらっしゃる方もいらして、なんだかほのぼのとした気持ちになりました。

そして、頭に栄養をたくさん与えた後は、充実感でいっぱいだけど疲れちゃったので、東京の反対側へ帰る前の私に必要なのは、おいしーいおやつ!!
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これは、大好きな甘味屋さん「みはし」のクリーム白玉あんみつです。寒い季節限定の粟ぜんざいにしようか、かなり迷ったけれど、今日はやわらかい求肥や白玉、さっぱりしたアイスクリームが食べたくてこちらに軍配があがりました。

頭も心も、そしてお腹もhappyになった一日でした。
作品展まで78日。

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Noism08.

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金森穣が率いるダンスカンパニー Noismの公演を見てきました。
NINA 物質化する生け贄(ver.black)
横浜赤レンガ倉庫1号館 
2008 12.17-21


金森穣のことは前からすごく気になっていました。まだ1度しか彼の舞台を見た事がなくて、でも普段は新潟に居るし、そうでなければ海外公演をしているので、今回の横浜での公演は絶対見逃したくないと思いました。

感想は..やっぱり行って良かった! 「床からエネルギーを吸い上げようと思ったら、あぁいう動きになったんです。」と、金森穣は言ってたけど、人形を床から起こすような動きを、生きている人間が自分の目の前でするのを見るのは不思議な感じ。それだけじゃなくって、60分の舞台は、息をのんだり、目を丸くしたり、頭でうーんって考えたり、心がドキドキしたりしているうちに終わってしまって、まだあと何回も見たいと思いました。
今日の舞台を見ていたら、以前、勘三郎が本の中で「ジャン・コクトーが日本へ来た時に歌舞伎を見て、その動きからインスピレーションを受けて「美女と野獣」を作った」、と言っていたのを思い出しました。そして、今回の作品について金森穣は「日本の伝統芸能独自の下半身の動きを取り入れた作品に触発されて作った」という事でしたけれど、様々な文化が色々な時代に、数々のアーティストによって、西洋と東洋を行ったり来たりしているんですね。楽しい! ジャン・コクトーはフィルムの逆回しをして、あのかかとからスクッと真っすぐに起き上がる動きを表現したけれど、Noismのダンサーは、いくら鍛錬しているとはいえ、すごい! 

NINAのストーリーは....各々の感じ方によって違うし、見る前にはきっと知りたくないから私が感じたストーリーも秘密にしておきますね。


そして、講演後には金森穣と井関佐和子が観客の質問に答える、というとっても贅沢な時間がありました。そこで彼が、「作り上げるという感じ、意味を込める感じを意識的に壊そう、壊そうと常に考えている」、「表現する事は見る事」、とひとつひとつの言葉を丁寧に探しながら答えている姿に、私はすごく感動しました。(私が感じた事なので、もしも意図していた事が違っていたらごめんなさい!)

日本の身体の表現は下へ下へ↓ですけれど、西洋は天へ↑(上へ)。私も教会へ行く度に賛美歌もあの教会の尖塔も天上へ届く様に、そしてバレエの動きも上へ上への表現なのね、と感じていたけれど、金森穣は「僕は、下へ↓行きそうな時は上へ↑、上へ↑昇りそうな時は下へ↓と考える」と言っていて、今日彼の舞台を見てなるほど!と思いました。
今日のNoismの舞台とアフタートークを見て、彼から一番強く感じた事は、自分が作り出す物と向き合う真摯な気持ち、でした。金森穣と、彼と一緒に働いている人たちが、今、すごく日本の舞台芸術の制度を変えていってること、それを新潟県という場所で行っている事にものすごく意味があるんだと思いました。

NINAの前に、現在創作中の作品[partita]を少しだけ上演しました。もう既に出来上がりがすっごく楽しみ!
これは、来年の6月にりゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館と東京の新国立小劇場で上演予定です。
でももし、間に合うんだったらNINAをぜひ!!!
問い合わせ:アンクリエイティブ03-5458-0548

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Leonard Foujita展

今日は、現在上野の森美術館で開催中の「没後40年レオナール・フジタ展」のご紹介です。
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私は今までずっと藤田嗣治は好きだけど、レオナール・フジタはあんまり....と思っていたのですけれど、今日の展覧会を見て気持ちが変わりました。フランス国籍を得て受洗をし、レオナールと改名してからの時期に重点を置いたこの展覧会は、エソンヌでの晩年の生活やシャペル・フジタの様子が再現されていて興味深いものでした。

今まで私は展覧会へ行くと、「この絵のこの線が好き」とか、「この表情が好き」というふうに、1枚1枚の絵を見ていた様に思うのです。でも、今日は見終わった後に「私は、藤田嗣治の人生全部が好き!」と思いました。

まず私の目を惹いたのは、展覧会場へ入ってすぐ右手にかかっている、モディリアーニが描いたフジタの肖像でした。数少ない線であんなに見事にフジタらしさを捕まえている事がとっても印象的だったし、フジタを有名にした乳白色の裸婦達は、いつも通りとってもとってもきれいでした。フジタが自分好みに毛を抜いて、細くした面相筆で描いた身体の線や、印象的な目を見ると、いつも私は思わず溜息が出ます。本当にきれい。。。

「仰臥裸婦」と、その下絵として描かれたデッサン「腕をのばした大きな裸婦」が並べてかかっているのですけれど、何となく印象が違う感じ。油彩とデッサンということだけではなくて、何だか感じる雰囲気が違うんです。デッサンのほうがかわいい、ふんわりした感じがします。じっと見てみたら、顔が少ーしだけ違いました。デッサンのほうがほほがふっくらしていて、右目の睫毛の向きが逆で、髪ももっとくしゃくしゃっとした感じでした。暫くこの絵の前にいたら、何だかその時のアトリエの雰囲気が伝わってきて、私までモデルを前にしている気分になりました。

そして、3番目の奥さんになったモデルのユキは、本当はベルギー人なのに何故ユキって呼ばれてるの???と私はいつも不思議に思っていたのですけれど、今日その謎が解けました。彼女の肌が「雪の様に白い」ので、フジタが「ユキ」と呼んでいたそうです。ふぅん...。ユキとユキの親友を描いた「二人の友達」を見ると、ユキの肌の白さが際立っている事が感じられます。フジタは、「女に耳としっぽをつけたら猫でしょう。」と言っていたそうですけれど、このふたりは本当に猫みたい。

私が一番等身大のフジタを感じられて楽しかったのは、彼がが晩年を過ごしたエソンヌのラ・メゾン=アトリエ・フジタの様子が再現されている展示でした。フジタが作った、まるでドールハウスのようなアトリエの模型は、彼が長ーい時間をかけて楽しんで作ったのが感じられて面白かったし、そのほかにもフジタがミシンを使っている写真や(彼は自分や妻の洋服を縫うのが大好き!)、妻へ贈った手作りの箱、愛用していたお裁縫道具が入っていた缶(色々な色の糸やボタンでいっぱい!)、木彫りの鏡(もちろん、私も自分を映してみました。フジタと同じ鏡に映っている自分が不思議な感じ!)など、興味津々でした。かわいいアルミの装飾用のレリーフは、私も幼い頃から大好きで、自分でアルミ板を買ってきて、釘で模様をつけてから、はさみで切り抜いて、クリスマスオーナメントにしたりしていました。

会場に展示されているこまごまとしたものや、それらが使われていた家の写真を見ていると、フジタが自分がきれいだと思うもの、好きなもの、いいと思うものを使いながら暮らしたい、と強く思っていた事が解ります。それ以外はいらない、という感じです。一番凝縮されたフジタの世界がありました。

さて、これは何でしょう?
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これは、フジタが妻に贈った手作りの箱です。

そして、フタを開けると?

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こんな素敵なフジタが描いた擬人化された猫の小皿が入っています。
自転車に乗ったり、パラソルを差したり、ダンスをしたり....。フジタが実際に描いたお皿は、もっと大きくてお皿の縁もグルッと紺色です。(これは、今回の展覧会の為に作られたミュージアムグッズです)

何年か前の京都での展覧会や横浜での回顧展などを見た時には、その線の繊細さや美しさに一番強く心を打たれた印象がありました。でも、今回はフジタが生涯追い求めた「西洋と東洋の融合」という普遍のテーマを色々な角度から見られたので、フジタ像を感じる事が出来ました。

そしてこれは...
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私が父から譲り受けたフジタです。私がいつも仕事をする机のすぐ側の壁から、いつも見守ってくれています。この絵を見る度に、きれいなことはすてきなこと、でも、一日でこの色、この線は描けないんだから、がんばろうっ、と思います。

没後40年 レオナール・フジタ展 上野の森美術館 ~2009. 1/18、福岡市美術館 2009. 2/22-4/19、せんだいメディアテーク 2009.4/26-6/7
                

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琳派から日本画へ

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今日も琳派の展覧会のご案内です。
「琳派から日本画へ 宗達・抱一・御舟・観山」山種美術館にて 2008年11/8~12/25

先日の国立博物館平成館での大琳派展から、ますます日本画にはまっている私は、青空の広がる気持ちの良い内堀通りに面した山種美術館へ行ってきました。

一番思った事は、大きな美術館も良いけれど、山種美術館くらいの大きさの美術館も素敵だということでした。何故ならば、大きな展覧会へ行くと展示作品の数も多いし、会場も広いので頭も身体も見終わる頃にはヘトヘトになってしまう事が多くて、帰る前に好きな作品をもう一目見たいと思っても会場を延々と逆走しなくちゃいけないけれど、ここならばそんなことはありません。しかも、作品を近くでじっくり見る事が出来て、抱一大好きな私にとっては、とっても嬉しいことでした。

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これは、抱一の弟子、鈴木其一の「四季花鳥図」。琳派の作品は絵の具の色が鮮やかに残っている物が多いけれど、これは特に色が鮮やかできれいでした。他にも、抱一の「飛雪白鷺」や「月梅」などの強く心が惹かれる作品を近くで見る事ができたのは本当に幸いでした。私は何でも正反対の物が同居しているもの(人も!)が好きなのですけれど、琳派の作品はデザイン的でモダンだけど、密かにかわいかったり、ものすごく大胆な部分と繊細な部分が入り混ざっているところが好きです。今日も抱一の梅の枝のガガッと描かれた感じと紅梅のぽたっとした形が同じ画面に同居しているのが良いなぁと思いました。


そして、足が止まって、いつまでも見ていたいと思ったのは、菱田春草の「月四題」。絹に春 夏 秋 冬の月が描かれているのですけれど、本当にきれい。繊細で静かな感じ。墨の濃淡を見ているうちに、作品から伝わってくる静けさや寂しさに泣きたくなってしまうような気持ちにさえなりました。でも、ものすごく高い技術に支えられている絵なので、しっかりとした印象も感じられます。


そして、山種美術館と言えば、この作品かしら。

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写真は全て山種美術館のHPから。

印刷物では見た事があったけれど、実物は本当に素敵でした。やっぱり実物を見なくっちゃ!!!


実は、山種美術館の館長は私の幼稚園からのお友達です。彼女の丁寧な説明に耳を傾けながら、私も今まで日本画を見て不思議に思っていたことを聞きました。日本画って月を墨で縁をぼかして、白く残したように表してあるでしょう?あれはどうやってあんなに丸く残せるの?屏風にするかしないかは始めから決めてあるの?書き直しの効かない日本画の下絵は実物大で描くの?名前の位置が色々なのは何故?この雪はパッと筆を振って白を散らしたの?それとも、ひとつずつ描いてるの?....と、矢継ぎ早に子供のような質問を沢山したのに、丁寧に答えて下さった館長に感謝!!!
そのわかりやすくて優しい口調に、他の来館者の方達も思わず聞き入っていました。きっと、私と同様にもっと日本画が好きになられたに違いありません。


山種美術館

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Second Nature展 at 21_21 Design Sight

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今日は雨まじりの寒い一日でしたが、この展覧会へ行くには秋晴れのような日よりもぴったりだったかもしれません。
これは六本木のミッドタウンの庭にある21_21 DESIGN SIGHTで行われている吉岡徳仁ディレクション「セカンド・ネイチャー」展 2008.10.17-2009.1.18 の入り口です。

あの数々の不思議な椅子で有名な吉岡氏の企画した展覧会という事もあって、とても興味深い作品が展示されていました。
まず私の足が止まったのは、階段を下りたところにある東信の「式2」という五葉松を氷に閉じ込めた作品でした。細いけれど力強い松の葉のひとつひとつに気泡がついていて、まるで松が息づいているかのようで不思議な生命力を感じました。それに、とてもきれい。


そして、大きな部屋は吉岡ワールド。
部屋に入ると35万本?もの異なる長さのファイバーが天井から下がっていて、まるで雲の中に入ったかのようなぽわっとした空気に包まれる感じ。これはCloudsという作品。近くに寄ると、ただのファイバーなのに、少し離れるとファイバーが重なり合う事で独特の陰影が生まれてきれい。気がつかないうちに雲の中にいるようなふんわり感や、もしかしたらちょっとしっとりとした気持ちさえ感じられるよう。


その雲の下にあるのが、水槽の中にポリエステルでできた椅子やビーナスを沈めて、結晶を成長させて出来た作品の数々。作品が出来上がるまでのプロセス写真をみんなが見ながら、「あ、これ、やった事ある! 夏休みの自由研究で...。」と口々に話しているのが面白い。私も小さい頃ピンクやパープルの木を作って喜んでいました。


ポリエステルの椅子の結晶がついている作品とついていない椅子が展示してあるので、会期中に時々遊びにくれば結晶の成長過程が見られるのかと思ったら、単にbefore+afterを見せているという事で残念でした。そして、この結晶を育てた溶液は何かしらと思ったけど、それはヒミツ!ということでした。


作品をいろいろな角度から見ると、様々な大きさの結晶がついていてきれい。結晶の椅子だから座ったら絶対に固くて痛いのに、思わず見ていると微笑んでしまう作品でした。
もしも、科学が得意なお友達と行ったら、結晶の形を見て「これはooで出来てるよ!」と教えてくれるかもしれませんね。


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21_21の周りはこんなふうに紅葉していて、とってもきれいでした。

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大琳派展

今、上野の東京国立博物館 平成館で開催中(~2008, 11/16)へはいらっしゃいましたか?

俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一、鈴木其一の「風神雷神図屏風」が全部並べて展示されているのは、とっても興味深いし、他の作品も見応えがあってとっても素敵な展覧会です。

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これは、私が大好きな酒井抱一の四季花鳥図巻です。酒井抱一の描く花は本当にきれいで、華があるし、細い細い線の先まで草花の命が宿っていて、見ているとほうっとため息が出ます。

展覧会場は混んでいるんだけれど、いろいろなところから「わぁ、きれい!」「きれいねー。」という声が聞こえてきました。やっぱり「きれいなこと」は良いなぁと思いました。

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この酒井抱一の「四季の花」は、私の大切な教科書です。上巻は春から夏の花、下巻は秋から冬の花に分かれています。花びらの1枚1枚、蔓がくるくる巻いている様子、葉っぱの先の尖り具合や丸みなどが克明に描かれていて、ページをめくる度に、花や葉っぱの裏側も美しいこと、まだ固いつぼみの時も枯れかけた様子も、それぞれの花で勢いや時の流れの速さが違うことを教えてくれます。


ニットやラグラグ、刺繍のデザインで花を描きたいときに、本棚から取り出すといつもいつのまにか仕事を忘れて見入ってしまいます。線の流れを知りたくて枝や茎の上を指でなぞってみたり、丁度庭に同じ花が咲いていると本を持って外へ出て見比べてみたり、見ているうちに心がドキドキしたり、ゆったりしてくる不思議な本です。

「四季の花」 画 酒井抱一、鈴木其一、中野其明 青幻舎刊

さて、次回は我家にもある琳派?をご紹介。

こんなふうに自分の中で好きな物が繋がっているんだなぁと思ったロンドンで見つけた一品です。

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